レーザービームのスポットサイズに関するビギナーガイド
2018-08-21
2018-08-21
誰かにレーザービームのスポットサイズを測定する方法を尋ねられたら、いくつかの質問をして回答します。このタイプの測定は、特に厳密に正確を期するためには一見するほど単純ではないためです。
大抵は以下のように質問/回答します。
それぞれについて、なぜこれらを尋ねる必要があるかについて見ていきましょう。
測定で何を達成したいのか、その背景が分からなければ、簡単に道を見失ってしまうことになります。
レーザービームのスポットサイズという表現を、レンズが焦点を合わせた時の焦点面の最小直径という意味にとらえる人もいれば、レーザーが射出する時、あるいは測定する必要のあるその他の場所のレーザービームの直径を意味する場合もあります。
測定へのアプローチが異なるため、二つのケースを区別することが重要です。
レーザービームがその光路に沿って伝搬する際、その直径は常に変化します。ガウスビームの理想的なケースを考えれば、伝搬軸Zに沿ったビーム幅(または、半径、w)は以下の方程式で定義されます。
w0がビームウエスト(ガウスビームの最小半径)でzRがレイリー長である場合
ビーム直径は単純にビーム半径の二倍で、伝搬軸に沿ったどこでも測定することができます。
ガウスビームの焦点を焦点距離「f」のレンズで合わせる場合、ビームウエスト(またはレーザースポットサイズ方程式)は以下のようになります。
そのため焦点サイズは非常に小さくなる場合があり、そうなると、ビームサイズは伝搬軸に沿って急速に変化します。レーザービームの焦点サイズの測定はそれ自体ほとんどアートです。というのも、極めて精密なセンサー結像面の位置と、焦点面を見つけるためにこの位置を調整する手段が必要となるためです。
焦点測定は基本的にレーザービーム直径測定の特殊ケースであるため、ここでは後者に集中します。
一般的なビーム直径の定義は、FWHM、1/e2およびD4σの三つがあります。ここではその算出方法とこれらの関連性についての概要をみていきましょう。
半値全幅はビーム半値幅とも呼ばれ、定義済みの軸に沿って、通常最高強度点でもあるビームの中心を通るビーム強度の分布曲線から測定されます。FWHMは最大照射または強度の50%を有するピークに最も近づく二点間の距離に相当します。
別の割合のビームの最大強度をその幅の定義付けに使用することを選択する人もいます。通常は13.5%で、これはビーム直径定義、1/e2につながります。
奇妙な値の選択に思われるかもしれませんが、1/e2は実際には簡略化した結果です。ガウスビームの動径分布を示す方程式で、
半径がwに等しくなる点(理論上のビーム幅半径)を見れば、その強度は最大値の1/e2倍であることが分かります。
それでは13.5%はどこから来ているのでしょうか?単純に、e、すなわちオイラーの定数は、ほぼ2.71828に等しくなるため、1/e^2 = 0.13534です!
米国標準規格と連邦航空局両方でレーザー安全性算出のためにこの定義を使用しています。これらのレーザー安全性規則に準拠したレーザービームスポットサイズを測定する必要がある場合は、1/e2定義を使用する必要があります。
ではこれがどのようにFWHMに関連するか疑問にお思いですか?ガウスビーム方程式から、強度が最大の半分である半径を見つけ、wを探し出すことができます。
FWHM定義も1/e2定義も、一つの軸に沿った強度分布から算出され、どちらもビームプロファイル全体を考慮に入れません。以下の定義はまさにこれを考慮しています。
このレーザービーム直径に対する三番目の定義は、ビーム幅(直径)の測定、発散角、レーザービームのビーム伝搬率の測定のためのISO国際規格が推奨していることが主な理由となり、非常によく使用されています。
基本的に、D4σ直径は、ビームの長軸と短軸に沿った強度分布の標準偏差の4倍になります。これはビームプロファイルの二次モーメントから算出されます。測定システムでの騒音のない完璧なガウスビームについては、1/e2定義の測定直径もD4σ定義も同じです。
この方式の主な難点は、測定で暗騒音がある場合、算出される直径が実値よりも大きくなるということです。これが、レーザービーム直径を測定する前に必ず暗騒音を取り除くことを推奨する理由です。
ご自分のレーザーを知ることが、スポットサイズ測定のための正しいレーザービームプロファイラ―を入手するための最初のステップです。
計器は検出器のアレイに基づいているため、これがご利用のレーザー波長に対して高感度でなければなりません。そうでなければ信号を得ることができず、そのため測定もできません。場合によっては、カメラ感度が高い可視波長にビームを変換する蛍光やリン光を使用する、UVコンバータやIRアダプタなどのビームプロファイリングアクセサリを推奨することがあります。
ご利用の波長がセンサー感度のあまり高くないスペクトル領域にある場合、他の波長からの光を遮断するフィルタを使用して、周囲環境や不要な源からの騒音を抑制することをお勧めします。
レーザービームプロファイリング計器を購入する前に、測定を予定する大まかなビームサイズを把握する必要があります。センサーが十分なサイズであるか、またピクセルは十分に小さいか、確認することが必要です。
最大直径の3倍以上のセンサーサイズを推奨します。ピクセルピッチ(またはピクセルサイズ)については、測定を予定する最小ビームが少なくとも10ピクセル内に適合することをお勧めします。
例えば、センサーのピクセルピッチが5.5 µmであれば、このセンサーで55 µm以下のビームを測定するべきではありません。
確認する必要がある最後のパラメータは、センサーにヒットするレーザーパワー密度です。これはビーム直径と平均パワー(パルスビームでも)から算出でき、それに応じて減衰フィルタを追加します。
またレーザービームプロファイラ― の感度によって、波長、ひいては彩度が変化することも考慮に入れる必要があります。算出を容易にするため、各ビームプロファイラーに対する最小および最大パワー密度の曲線を提供しています。これは一例です。
平均パワーが1 Wを上回る場合、減衰フィルタを使用する前にビームのサンプリングをする必要があります。当社では最大500 Wまでの減衰ニーズに対応するビームサンプラーを各種取り揃えています。
ご利用のレーザーの正確な直径や出力が分からない場合は概算で問題ありません。ビームプロファイラーには暴露時間を調整してパワー密度変化に対応した補正を行う機能があります。
ビームプロファイラーおよびアクセサリの選択に関してサポートが必要な場合はお気軽に当社までお問い合わせください!